よく「遺言書を作っておいた方が良い」と言われます。
その理由としては、分割の際に争いが生じ「相続が争族」になるのを避けるためと言われます。
具体的には、預金、不動産、車などの財産を分ける時になると、
「これまで自分が世話をしてきた」「今まで寄り付もしなかったのにいまさら財産を分けろなんて都合が良すぎる」「これまで生活費など支援してもらってたじゃないか、相続財産ぐらいは自分がもらう」などなど揉める理由は多々ありますので、最後の一言としての「遺言書」が存在すれば効果は絶大となります。
でも、遺言書を作っておく方が良い理由はこれだけではなく、「相続手続きが簡単になる」という面も重要です。
例えば代表的な相続手続きである不動産の相続手続きの場合には必要となる書類が変わってきます。
戸籍関係の必要書書類としては
・遺言書がある場合
①遺言書、②被相続人の除籍謄本、③不動産を相続する相続人の戸籍謄本、④(任意)相続関係説明図、⑤不動産を取得した人の住民票、⑥固定資産評価証明書
遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
①遺産分割協議書、②被相続人の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、③全相続人の戸籍謄本、④(任意)相続関係説明図、⑤相続人全員の印鑑証明書、⑥不動産を取得した人の住民票、⑦固定資産評価証明書
遺言書も遺産分割協議書もない場合(この場合の相続登記は、法律上の割合ですべて共有となってしまい、不動産の処分が大変になりますので注意)
①被相続人の出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、②全相続人の戸籍謄本、③相続関係説明図、④相続人全員の住民票、⑤固定資産評価証明書
遺言書がある場合とない場合では、戸籍の集める範囲や印鑑証明の必要性の有無が大きく異なります。
僕らは職権で戸籍の収集などを行ってはおりますので比較的スムーズに集めることができますが、一般的に被相続人の全部の戸籍を集めるのはかなり大変です。印鑑証明も相続人の一人でも所在不明だったり協力してくれないと手続きが進まないので、こういった部分で特に問題が生じてくることもあります。
こういう手続き面を考えても、やはり「遺言書」の効力は絶大です。検認手続の有無を考えると「公正証書遺言」にしておく方が便利ですが、いつ何が起こるかわかりませんので、急を要しない場合でも「自筆証書遺言」は作成しておく方が良いと思われます。
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